大田市の大森町、鞆ヶ浦、温泉津にある主な石見銀山遺跡
石見銀山のメインとなるエリアは、現在の大田市大森町にあたる、銀山川沿いの谷間に発展した全長約2.8kmほどの細長い鉱山町です。この町は銀鉱山(仙の山)に隣接する南西側の銀山エリアと、武家屋敷や商家が立ち並ぶ北東側の大森エリアの二地区に分かれます。
メインエリアの周辺には、旧邇摩郡(にまぐん)の温泉津(ゆのつ)・沖泊(おきどまり)、仁摩町(にま)町の鞆ヶ浦(ともがうら)といった銀の積出港と港町、銀山と港を結ぶ石見銀山街道など、往時の繁栄が偲ばれる遺跡が残されています。
参考リンク
島根県:石見銀山遺跡の概要
JAPAN-GEOGRAPHIC.TV
石見大森銀山 鉱山町・温泉津 港町 温泉
ここでは、各エリアごとに重要と思われる遺跡をいくつか紹介していますが、石見銀山遺跡は、一目見ただけではなかなか遺跡とは分からないものもあるようです。石見銀山をより深く知りたい方は、地元の人々による「石見銀山ガイドの会」がガイドツアー(有料)を行っていますので、利用してみてはいかがでしょうか。
石見銀山の見どころ
銀山エリア
間歩
佐毘売山神社
高橋家
清水寺
清水谷製錬所跡
銀山エリアで一休み☆
大森エリア
大森代官所跡(石見銀山資料館)
城上神社
熊谷家
旧河島家
井戸神社・栄泉寺
五百羅漢・羅漢寺
大森エリアで一休み☆
温泉津エリア
温泉津の歴史
温泉津温泉
温泉津の見どころ
温泉津で一休み☆
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石見銀山散策チケットを購入すると、石見銀山資料館、重要文化財熊谷家住宅、武家屋敷旧河島家、五百羅漢(羅漢寺)、龍源寺間歩の5施設に1,500円で入場できます。(個別にチケットを購入すると2,100円)
チケットは大人(高校生以上)1,500円のみの販売。
チケット取扱は、石見銀山特産品センター(旧大森観光センター)・重要文化財熊谷家住宅・五百羅漢(羅漢寺)・龍源寺間歩
大田市観光ガイド
銀山エリア
銀山エリアでは、銀の採掘から製錬に至るまで、銀の生産活動が一貫して行われました。
戦国時代、銀採掘に関わる人々によって銀鉱山周辺に形成された集落が、銀山開発とともに銀山川に沿って発展しました。江戸時代になると、このエリアは柵で囲まれた「柵内(さくのうち)」と呼ばれるようになり、出入口には番所が設けられ、銀の不正持ち出しの監視などが行われました。銀山最盛期の慶長から寛永には人口20万人、寺院は100ケ寺を数えたといわれます。
現在、銀山エリアには、石見銀山開発初期の露頭掘り跡から江戸時代の坑道跡、明治期の製錬所跡も残されています。石見銀山400年の歴史を一度に体験できるのですね。
参考リンク
石見銀山(遺跡)とは:銀山ゾーン
間歩
石見銀山には銀を掘り出す「間歩(まぶ)」と呼ばれる坑道が600近く掘られました。現在、内部が一般公開されている間歩は龍源寺間歩のみですが、2008年4月には、銀山で最大の大久保間歩が本格公開されるとのことです。
参考リンク
石見銀山(遺跡)とは:間歩を覗く
温泉津・福光周辺風景:石見銀山
龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)
大久保間歩に次ぐ規模の間歩です。壁面には当時のノミの跡がそのまま残っています。江戸時代中期、代官所直営の御直山(おじきやま)として操業されました。
開館時間:
9:00〜17:00(3月20日〜11月23日)
9:00〜16:00(11月24日〜3月19日)
定休日:
11月24日〜3月19日の毎月第1・3月曜(祝日の時は翌日休)と12月26日〜1月9日
3月20日〜11月23日は無休
入館料:大人400円・中学生以下200円・小学生未満は無料参考リンク
ハイライトジャパン:龍源寺間歩
釜屋間歩(かまやまぶ)
備中出身の山師、安原伝兵衛が夢のお告げで発見したと言われ、石見銀山最大の産銀量を誇りました。2003年の調査では、間歩入口近くの斜面に、高さ18mの岩盤を三段のテラス状にくりぬいた巨大な遺構が発見され、「謎の岩盤遺構」と名付けられています。
参考リンク
しまねバーチャルミュージアム:釜屋間歩
山陰中央新報:釜屋間歩と謎の岩盤遺構
山陰中央新報:釜屋間歩開発した伝兵衛
石銀(いしがね)地区
石見銀山開発初期からの大規模な遺跡です。仙ノ山の頂上付近に、露頭掘りや坑道などの採鉱跡、住居や製錬所の跡と思われるテラス(平坦地)や石垣、池・井戸・墓地などが分布しています。
佐毘売山神社
佐毘売山(さひめやま)神社は、鉱夫や里人から「山神さん」と親しまれた、製錬の神「金山彦命(かなやまひこのみこと)」を祭る、全国一の規模の山神社です。現在の建物は文政2(1819)年に再建されたもの。神社北側の出土谷(だしつちだに)には、灰吹法を伝えた慶寿が住み、灰吹法導入の地とされています。
参考リンク
山陰中央新報:佐毘売山神社
温泉津・福光周辺風景:佐毘売山神社
高橋家遺宅
石見銀山町年寄山組頭の遺宅。中には茶室が設けられ、付属の建物では酒造なども行なっていたそうです。「山組頭」は坑夫の人事や物資の購入などを監督する、鉱山の取締役。高橋家は代々銀山の町年寄や山組頭などを勤めました。
参考リンク
ぐるなび:島根県の観光地【高橋家】
清水寺
清水寺(せいすいじ)は、6〜7世紀頃、推古天皇の時代に仙の山の石銀地区に、天池寺という名前で創設されたそうです。延暦17(798)年に清水谷に移転し、清水寺と改名しました。その後、幕末には再び仙の山中腹に移転、明治11(1878)年に現在の地に移されました。寺宝「辻ヶ花染丁字文胴服(つじがはなぞめちょうじもんどうぶく)」は、国の重要文化財に指定されています。
備中出身の山師、安原伝兵衛は、清水寺に祈願し続けて七日目に「銀の釜」を賜る夢を見、釜屋間歩を発見したと伝えられています。慶長8(1603)年、伝兵衛は年3600貫の運上金を幕府に納めたことで将軍徳川家康に御目見を許され、家康から辻ヶ花染丁字文胴服(辻が花染丁子文道服)と扇子を拝領しました。
参考リンク
山陰中央新報:辻が花染丁子文道服
温泉津・福光周辺風景:清水寺
清水谷製錬所跡
清水谷製錬所(しみずだにせいれんしょ)は、当時最先端の技術と20万円(現在の約20億円相当)の巨額を投入して建設が進められ、明治28(1985)年4月に操業を開始しました。谷の斜面を利用した八段の石垣の上に建物が設けられ、上から下へ鉱石を降ろしながら順次、製錬が行われていったそうです。
しかし予想より悪い鉱石の品質と製錬能力のため不採算となり、清水谷製錬所はわずか1年半で閉鎖されました。もし採算が取れていたら、大規模な再開発が行われて過去の遺跡が失われてしまい、石見銀山が世界遺産に登録されることは無かったのかもしれません。
参考リンク
山陰中央新報:清水谷製錬所跡
温泉津・福光周辺風景:清水谷製錬所跡
銀山エリアで一休み
■Toraya(とらや)
龍源寺間歩、福神山間歩の近くにある手作りカレーとコーヒーのお店。近隣にはお店が少ないのでTorayaは嬉しい存在です。フルーツベジタブルカレーが女性に人気、井戸水で入れるコーヒーも評判が高いとのこと。
島根県大田市大森町2-144
営業時間:10:00〜17:00
定休日:火曜(祝日の場合は営業・12月〜3月中旬まで休業)
TEL:0854-89-0873
Torayaの地図
大森エリア
銀山の北東側に隣接した大森エリアは、江戸時代の初めに石見銀山領を支配する代官所が置かれ、領内の政治経済の中心として大きく栄えました。
代官所の周りには、役所、公用で代官所に来た人が泊る郷宿(ごうやど)、武家屋敷、商家が軒を並べましたが、通常の城下町のような身分や職種による町割りがなされず、武家住宅と商家が混在して町並みを形成していきました。
寛政12(1800)年「寛政の大火」が発生し、大森の町並みは3分の2が焼失し、以降は萱葺(かやぶき)屋根を使った建築は禁止となりました。 現存する建物の多くは寛政の大火以降の再建ですが、石州瓦(赤瓦)や宅野のいぶし瓦(黒瓦)を使った独特の町並みが良好に残され、人々が今も生活を営んでいます。
参考リンク
石見銀山(遺跡)とは:大森ゾーン
ハイライトジャパン:大森町の町並み
大森代官所跡(石見銀山資料館)
大森代官所跡には、寛政の大火後に再建された瓦葺き平屋建ての表門と、左右の門長屋の建物が現存しています。敷地内の建物は1902年に建てられた旧邇摩(にま)郡役所ですが、現在は石見銀山資料館として、石見銀山の調査研究、資料の保存管理・公開展示などが行われています。
開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで・12月〜2月は16:00閉館)
入館料:大人500円・子供300円
参考リンク
石見銀山資料館
しまねバーチャルミュージアム:代官所跡(石見銀山資料館)
城上神社
城上神社(きがみじんじゃ)の創祀年代は不詳。仁摩郡馬路の高山(城上山)に鎮座していたものが、永享6(1434)年に大内氏によって大森町の香語山(愛宕山)に遷座。その後、天正5(1577)年、毛利氏によって現在地に遷座されたといわれます。
現在の社殿は寛政の大火の後、文化9(1812)年に再建したもので、江戸の亀井戸天満宮にならった重層式入母屋造瓦葺屋根拝殿となっています。拝殿の天井に描かれた鳴き龍の下で手を打つと、龍が鳴くように響きます。
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温泉津・福光周辺風景:城上神社
しまねバーチャルミュージアム:城上神社
熊谷家
熊谷(くまがい)家は代官所から独占企業にあたる掛屋に任命され、手広く金融活動を展開する他、銀山経営や酒造業も経営、19世紀には大森の中で最も有力な商家の一つとして、代官所と銀山領の村々をつなぐ役目を担いました。
熊谷家住宅は大森地区最大の商家建築であり、江戸時代後期から末期にかけて御料の有力商人の身分や生活の変遷を最もよく示す民家建築とされています。平成10年には国の重要文化財に指定されました。
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:大人500円・小中学生100円
休館日:月曜(祝日の場合は翌日休)・12月29日〜1月3日
参考リンク
重要文化財 熊谷家住宅
しまねバーチャルミュージアム:熊谷家
山陰中央新報:旧熊谷家住宅
旧河島家
商家は街道に面して軒を並べて建てられているのに対し、武家住宅の多くは街道に面して門、土塀、庭などが設けられ、建物は敷地の奥に建てられています。
旧河島家は19世紀初めに建てられた代官所地役人の遺宅で、武家住宅の遺宅としては唯一公開されているものです。地役人とは、大森代官所勤務の役人(武士)で、は代々大森に居住して銀山経営や銀山領内の支配にあたりました。
開館時間:10:00〜16:30
入館料:大人200円・小中学生100円
休館日:月曜(祝日の場合は翌日休)
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大田市観光情報:旧河島家
井戸神社・栄泉寺
享保16(1731)年、大岡越前守の推挙により60歳で石見大森の代官に任ぜられた井戸平左衛門正明(いどへいざえもんまさあきら)は、享保の大飢饉に苦しむ領民のため、村役人や富豪を説いて義援を募るとともに、干ばつに強い甘藷(かんしょ=さつまいも)を薩摩から他国に先駆け導入、普及させます。
さらに平左衛門は、幕命を待たず税を減免し、私財を投じるとともに官庫(蔵米)を開くなどして多くの領民を救いました。享保18(1733)年に笠岡(岡山県笠岡市)で亡くなってからも、平左衛門は「芋代官様」「芋とのさん」と呼ばれ親しまれています。
井戸神社は、明治12(1872)年、平左衛門をまつるために建立された神社で、鳥居に掛かる扁額は、勝海舟の筆によるものです。
栄泉寺は、後に薩摩からサツマイモを持ち帰ることになる修行僧の泰永と、平左衛門が出会った場所とされています。
参考リンク
山陰中央新報:銀山領の飢饉救った代官
しまね観光ナビ:井戸神社
禅苑:栄泉寺
五百羅漢・羅漢寺
羅漢寺(らかんじ)の五百羅漢(ごひゃくらかん)は、石見銀山で亡くなった鉱夫や先祖の霊の供養のため、大森観世音寺の住職月海浄印と大森代官所役人により発願され、石見銀山や日本全国の幕府直轄地の有力武士や町民などの寄付を得て、明和3(1766)年3月、25年の月日をかけて完成しました。
銀山川支流を挟んだ寺の向かい側の岩山に3カ所の石窟(せっくつ)があり、中央窟に石造釈迦三尊仏を、左右両窟には250体ずつの石造羅漢坐像を安置しています。川には福光石(ふくみついし)の反り橋がかけられ、石窟の横には名水「三百水」が湧出しています。
開館時間:9:00〜17:00
入館料:大人500円・小中学生300円
休館日:無休
参考リンク
温泉津・福光周辺風景:羅漢寺の五百羅漢
神戸観光壁紙写真集:羅漢寺・大森五百羅漢
大森エリアで一休み
■御前そば
五百羅漢(羅漢寺)近くのお店。病を治し幸運をもたらすという名水「三百水(さんびゃくすい)」を使った手打ちそばが好評。メニューは割子そば、やまかけそば、鴨そばの他、定食、丼物など。
島根県大田市大森町イ793-1
営業時間:11:00〜17:00
定休日:木曜不定休
TEL:0854-89-0332
御前そばの地図
■お食事処 おおもり(大森会館)
代官所跡駐車場のすぐ前の食事処。窓越しに銀山川のせせらぎと大森代官所門長屋を眺めながら食事を楽しめます。天ぷらがセットになった代官そば、釜揚げそばが付いた代官定食が人気メニューとのこと。
島根県大田市大森町ハ44-1
営業時間:9:00〜18:00(12〜3月は〜17:00)
定休日:1/1〜3
TEL:0854-89-0106
おおもりの地図
■朝日庵
古来から蕎麦の産地で知られた三瓶山で栽培されたそば粉やわさび、縄文米を使ったメニュー。十割そば、二八そばなど。築150年の旅籠(はたご)を改装した建物も魅力。
島根県大田市大森町駒の足ハ171
営業時間:10:00〜18:00
定休日:水曜
TEL:0854-89-0077
朝日庵の地図
■cafeこめまめいも
地元では「BuRA HOUSE(ブラハウス)」で知られる石見銀山生活文化研究所による雑貨・衣類・寝具のブランド「群言堂」。こめまめいもは、江戸時代の商家を修復、復元した群言堂石見銀山本店の中、中庭に面したカフェです。メニューは、店名の通り米・豆・芋が主役のスウィーツやドリンク類となります。
島根県大田市大森町ハ183
営業時間:10:00〜18:00
定休日:水曜
TEL-FAX:0854-89-0077
オフィシャルサイト■有馬光栄堂
寛政元(1789)年創業の老舗和菓子店。名物は小麦粉と黒糖で作られたクッキー風の「げたのは」。銀山の鉱夫達が作業時に食べていたお菓子だそうです。名前の由来は、二枚を打ち合わせると下駄の音がすることから名付けられたとのこと。
島根県大田市大森町ハ141
営業時間:8:00〜18:00
定休日:無休
TEL:0854-89-0629■中村製パン店
「代官いも」「きなこもちもち」が人気の老舗製パン店。いろいろな種類のパンが焼きあがる11時ごろがおすすめ時間帯。
島根県大田市大森町ハ91-4
営業時間:10:00〜17:00
定休日:土曜
TEL:0854-89-0002■中田商店
鮮魚店ですが、手作りのオリジナル胡麻豆腐が大人気。全国から注文が殺到しているそうです。
島根県大田市大森町イ590
営業時間:7:00〜19:00
定休日:第1,3水曜 不定休あり
TEL:0854-89-0618
オフィシャルサイト■銀の店
オリジナルデザインの手作りアクセサリーや銀食器などの他、各地の彫金作家による作品も扱う銀製品の専門店。オリジナルリングの注文も受け付けてくれるそうです。建物は江戸時代後期のもの。
島根県大田市大森町ハ57-1
営業時間:10:00〜17:00(冬季は〜16:30)
定休日:火曜・年末
TEL:0854-89-0673
温泉津エリア
“温泉の湧く湊”という意味の温泉津(ゆのつ)は、温泉津港から山側に延びる鄙びた温泉街で、明治〜大正〜昭和初期に建てられた日本旅館が現在も営業を続けています。2004年、温泉街としては初の国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、2007年には世界史上初めて、世界遺産に指定された温泉地となりました。
温泉津の歴史
温泉津という名前は「温泉郷(ゆのごう)」に由来するとされ、元暦元(1184)年の「源範頼下文案」に温泉郷という地名が、弘治4(1558)年の「毛利元就同隆元連判状」には温泉津の名前が記載されています。
また、平安時代に編まれた辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」には、石見国邇摩郡の郷の1つとして「温泉」とあり、これに「由」の字を宛てて「ゆ」と読ませていることから、温泉津一帯は、平安時代から温泉の出る土地として知られていたという指摘もあります。
古くから温泉があることで知られていた温泉津ですが、16世紀半ば、毛利元就の命を受けた吉川元春が港と町並みの整備を行うと、温泉津は毛利氏の石見銀山支配の拠点として重要な位置を占めていきます。銀の積み出しや銀山で使う物資の水揚げで、温泉津は大いに栄え、数多くの商家が軒を連ねるようになりました。
しかし17世紀に入って、より安定した銀輸送を行うために、大森から尾道に至る陸路が整備されると、慶長10(1605)年頃を境に、石見で産出した銀は大森から尾道を経由し、大坂(大阪)や京都伏見の銀座へ送られるようになりました。
このため、温泉津は銀の輸出港としての役目を終えることになりますが、寛文12(1672)年、河村瑞賢によって西廻り航路が開かれると、温泉津は北前船(きたまえぶね)の寄港地として再び賑わいを取り戻します。
以降、温泉津は銀山領の年貢米の積み出し、水がめ「半斗(はんど)」をはじめとする温泉津焼の積出港として繁栄を続けますが、大正時代に山陰鉄道浜田線が開通すると、次第に港の役割は薄れ、温泉町としての性格が強まっていきました。
参考リンク
ハイライトジャパン:温泉津温泉と温泉津の町並み
愛知淑徳大学 谷沢明研究室:【温泉津】港町温泉津・沖泊・鞆ヶ浦
まちなみ街道 町並み写真館:温泉津
取材チャリがいく、石見銀山・温泉津の観光スポットVブログ:銀山街道をめぐる
温泉津温泉
温泉津温泉は、古くから薬効の高い温泉として数多くの湯治客で賑わい、伊能忠敬や小泉八雲、野口雨情といった著名人も訪れています。源泉は「元湯」と「薬師湯」が湧出しています。
■元湯
元湯は中世以来の歴史を持つ温泉で、代々元湯を所有してきた伊藤家に伝わる『温泉記』によると、温泉津で妖怪に襲われた旅の僧が、懐刀で妖怪を打ち払い、その血痕を辿っていくと、山の麓に温泉が湧き出ていて、一匹の古ダヌキが痕を癒していた、とのこと。
泉質:含土類食塩泉100%源泉かけ流し
効能:リウマチ、神経痛、創傷、慢性皮膚炎、腰痛など多数
営業時間:5:30〜20:30
休業日:年中無休
料金:大人300円・小人150円
オフィシャルサイト■薬師湯
薬師湯は明治5(1872)年の浜田地震によって湧出したため、「新湯(しんゆ)」「震湯(しんゆ)」「なまずの湯」などとも呼ばれています。薬師湯は日本全国でも屈指の泉質として知られ、2005年9月、日本温泉協会の新基準による審査の結果、全項目最高評価の「オール5」を取得しました。薬師湯の建物は、昭和29年に建てられた鉄筋コンクリート造2階建てですが、大正8(1919)年に平屋から建て替えられた洋風木造2階建ての旧館も残され、新館・旧舘の2階の和室を休憩室として利用可能(有料)、旧館1階には喫茶店「震湯cafe内蔵丞」もあります。
泉質:ナトリウム・カリウム塩化物泉100%源泉かけ流し
効能:生活習慣病、神経痛、リウマチなど多数
営業時間:5:00〜21:00(入浴)・9:00〜17:00(休憩室)
休業日:年中無休
料金:大人300円・小人150円 貸切湯(家族風呂)40分:大人500円・小人300円
オフィシャルサイト
温泉津の見どころ
温泉津は、急傾斜の山肌を背にした狭い谷合いに、山裾の岩盤を削ってできた町で、クラシックな町家と神社仏閣が混在する独特な町並みです。1972年には「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」のロケ地にもなりました。
温泉津の町並みは、時代とともに建物の変遷はありましたが、道路や寺社の配置など基本的な町割りは、元禄5(1692)年の「町絵図」とほとんど変わっていないそうです。
参考リンク
ハイライトジャパン:温泉津温泉と温泉津の町並み
庄屋屋敷(内藤家)
廻船問屋「梅田家」の屋敷で、代々庄屋だったことから庄屋屋敷と呼ばれています。延享4(1747)年に起きた温泉津の大火後の建築といわれ、燻瓦の屋根、漆喰やなまこ壁といった火事に備えた土蔵造りとなっています。
母屋の中二階に開けられた虫籠窓(むしこまど)、一階にはめこまれた出格子、吹き抜けになった土間などに江戸時代後期の商家の特徴が残っています。また、母屋の裏手は、温泉津川に面しており、荷物の輸送に利用されたのではないかと考えられています。
恵F寺(えこうじ)
温泉津には西念寺、金剛院、西楽寺、恵F寺、龍澤寺があり、その殆どが16世紀に相次いで創建されました。その中でも恵F寺は、港の問屋商人と深いつながりのあった寺院です。天正15(1587)年5月、丹波国田辺城主・細川幽斎が温泉津を訪れ、温泉津問屋衆8名とともに、恵F寺で百歌連歌の会を催しました。隣の西楽寺には連歌会の記録が残されています。
本堂裏の墓地には、廟式の墓地が残り、越前屋、佐渡屋、境屋、泉屋など、廻船問屋の屋号が刻まれています。このことからも温泉津が北前船を介して全国各地と交流していたことがうかがえます。
その他、恵F寺には初代銀山奉行・大久保長安の逆修墓も残されています。
龍御前神社(たつのごぜんじんじゃ)
竜の形をした巨岩「龍岩(たついわ)」が目印の龍御前神社は、海上安全、漁業・温泉医療の守護神として信仰を集め、大己貴命(大国主命)を始めとする8神が祀られています。龍御前神社の創建は天文元(1532)年ですが、創建より遙か昔から、龍岩自体が神の降臨する「磐座(いわくら)」として信仰されていたそうです。
神社の拝殿には航海の安全を祈願して奉納された船絵馬が、境内には船主から寄進された石灯籠が残されています。龍岩の下には奥の院(旧本殿)が位置し、龍岩への参道も整備されています。
参考リンク
温泉津町:龍御前神社
温泉津 やきものの里
温泉津焼は江戸時代中期の宝永年間(1704〜1709)から生産が始まり、水瓶や壷などの日用品が北前船で全国に運ばれました。特に、出雲の来待石を釉薬に使った「半斗(はんど)」と呼ばれるアメ色の水がめは、石見の特産として知られています。現在も、温泉津には3軒の窯元があります。
温泉津やきものの里には、創作体験も出来る温泉津の資料館や、復元された日本最大級の登り窯2基があります。春と秋の「やきもの祭」では、実際に登り窯に火が入れられ、焼きあがった作品の即売も行われます。
参考リンク
温泉津観光協会:やきものの里
温泉津で一休み
■カフェ&バー「路庵(ろあん)」
“かつて栄華を極めた「温泉津温泉街」に色気と「石見銀山街道」に活気を取り戻したいと強く想い、願いを込めて今にも崩れてしまいそうな築100年を超える古民家を大改修、「ジャパニーズモダンスタイル」の空間”とのことです。メニューは地元の新鮮な魚介類、農産物による創作料理と全国各地の銘酒。特に梅酒と焼酎のカタログが充実しています。
島根県大田市温泉津町温泉津ロ311
営業時間:13:00〜22:00(21:30ラストオーダー)
定休日:火曜
TEL-FAX:0855-65-2777■震湯cafe内蔵丞(しんゆカフェくらのじょう)
大正8(1919)年築の薬師湯旧館の1階を改装した喫茶店。男湯脱衣場を利用しているそうです。メニューはまろやかな風味のエスプレッソなどイタリアンコーヒーが主で、カプチーノなど9種類。その他、デザートや日替わりの軽食など。
島根県大田市温泉津町温泉津7-1
営業時間:11:00〜17:00
定休日:木曜
TEL:0855-65-4126
沖泊・鞆ヶ浦エリア
大田市仁摩町から温泉津町にかけての海岸線は、複雑に入り組んだリアス式海岸となっているため、波の穏やかな入り江がいくつも存在します。16世紀から17世紀初期にかけて、沖泊、鞆ヶ浦の港は、石見銀の積出港、銀山で消費される諸物資の水揚港として、重要な役割を担いました。
沖泊
沖泊(おきどまり)は、温泉津と山を隔てて隣り合わせの港町です。 沖泊港の歴史は古く、石見銀が見つかる以前から、風待ち港として賑わっていたそうです。
16世紀後半、沖泊は温泉津とともに銀の輸送や石見銀山への物資補給、軍事基地として栄えました。江戸時代に入り、温泉津が北前船の寄港地になると、沖泊は「小回し」と呼ばれる、近在の港を回る地船の海運業が盛んになりました。現在も、港の周辺には「鼻ぐり岩」と呼ばれる、船を係留するために岩盤をくり抜いたり根元を削った岩が多数残されています。
尼子氏を抑えて銀山の支配権を握った毛利元就は、元亀元(1570)年、沖泊湾に面する丘陵地に鵜丸(うのまる)城を築き、対岸の串山城(櫛島城、櫛山城)、温泉津湾を挟んだ笹島城と共に、毛利水軍の拠点としました。現在も、深い入り江を挟んだ北側に櫛島城跡、南側に鵜丸城跡が残っています。
恵比須神社は、神屋寿禎の石見銀山発見と同じ大永6(1526)年に、筑前国那賀郡芦屋浦の住人の神託によって建立されたと伝えられ、海の神様として海人の信仰を集め、現在も沖泊の氏神的存在となっています。近年の調査によって、本殿が16世紀の建築であることが明らかになりました。
この他、16世紀まで遡る方形地割りを留める沖泊の町並み、船舶用に供された浜の井戸・正念寺奥の井戸・上の井戸という3つの共同井戸、火防の祠が現存しています
参考リンク
しまねバーチャルミュージアム 石見銀山:沖泊
温泉津・福光周辺風景:沖泊(島根県中部の風景)
中國新聞 みち紀行:温泉津町
島根県 石見銀山:【七】港湾の集落調査
取材チャリがいく、石見銀山・温泉津の観光スポットVブログ:ぐるぐる巡って、鼻ぐり岩☆
取材チャリがいく、石見銀山・温泉津の観光スポットVブログ:温泉津漁港
鞆ヶ浦
鞆ヶ浦(ともがうら)は、沖泊が銀の積出港となる以前、石見銀山開発初期から16世紀前半にかけて、博多への銀や銀鉱石の積み出しに利用されましたが、海運業が栄えた沖泊に対し、鞆ヶ浦は漁業や農業が主となっていったようです。
鞆ヶ浦には、今も板壁にべンガラを塗った家や石垣で基礎を造成した家が残り、港の両岸には船の係留に使う鼻ぐり岩が見られます。
港の入口に浮かぶ鵜島には、石見銀山を開発した神屋寿禎が建立したとされる厳島神社が祀られ、現在でも地元の人々に深く信仰されているそうです。毎年8月15日には厳島神社の例大祭(レンゲ祭り)が催されます。
参考リンク
しまねバーチャルミュージアム 石見銀山:鞆ヶ浦
温泉津・福光周辺風景:鞆ヶ浦(島根県中部の風景)
銀山街道
石見銀山で産出された銀を国内各地および海外に輸送するために、銀山と港町を結ぶ街道が整備され、現在でも鞆ヶ浦コース、温泉津沖泊コース、やなしおの道コースを実際に歩くことができます。
鞆ヶ浦コース
鞆ヶ浦コースは、石見銀山開発初期、神谷寿禎が銀鉱石を博多へと輸送するのに利用したとされる、石見銀山と鞆ヶ浦を結ぶルートです。起伏が大きく、比較的健脚のかた向けコースとのこと。
所要時間:銀山公園〜鞆ヶ浦 徒歩で5時間30分
参考リンク
石見銀山ガイドの会:鞆ヶ浦コース
ハイライトジャパン:鞆ヶ浦道を歩く
温泉津・福光周辺風景:銀山街道・鞆ヶ浦道
温泉津沖泊コース
16世紀後半になると、鞆ヶ浦に変わって温泉津、沖泊の港が銀の積出港として賑わいを見せるようになります。約14kmの温泉津沖泊コースは、比較的起伏が穏やかで、年配の方も楽しめるとのことです。途中の西田地区では、秋になると刈り取った稲束を積み上げた独特の「ヨズクハデ」が見られます。また、清水地区にある「金柄杓井戸(かなびしゃくいど)」の湧き水は、島根の名水百選にも選ばれています。
所要時間:銀山公園〜沖泊 徒歩で6時間40分
参考リンク
石見銀山ガイドの会:温泉津沖泊コース
ハイライトジャパン:温泉津沖泊道を歩く
温泉津・福光周辺風景:銀山街道・沖泊道
やなしおの道コース
江戸時代の慶長10(1605)年頃から、石見銀山の銀は大森から尾道を経て京都大阪の銀座に運ばれるようになりました。大森〜尾道ルートの一部「やなしおの道」は、正平9(1354)年の文書にも記されるほど古い銀山街道で、昔の面影をよく伝える道として文化庁の「歴史の道百選」にも選定されています。
所要時間:美郷町小松地(箱茂のお松)〜粕淵(とどろき坂) 徒歩4時間10分
参考リンク
石見銀山ガイドの会:やなしおの道コース
島根県美郷町:やなしおの道マップ
以下のページでは大森から尾道までのコースを4日間かけて歩いています。
石見銀山協働会議:尾道ルート
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